リウマチ専門外来



リウマチ専門外来では、リウマチの診断・治療を専門的に行っています。X線検査、血液検査、MRI・超音波検査などにより診断を行い、症例に合わせたリウマチ薬の処方、リハビリ、注射治療などを、症状や病態に合わせて行います。

リウマチとは

リウマチは原因不明の自己免疫疾患で全身性炎症性疾患です。有病率は0.6%(80万人)、男女比は1対4、好発年齢は20〜60歳です。60歳以上で発症する高齢発症リウマチが増えています。男女比は1対2。原因は遺伝が40%、環境因子が60%。環境因子は感染、けが、妊娠、出産などです。免疫が過剰に働き関節に炎症が起き滑膜細胞が増殖し痛みや腫れを起こし軟骨や骨を破壊します。リウマチは血液検査で80〜90%は診断出来ますが、血液検査陰性リウマチが10〜20%あります。病気の始まりは手指関節(IP関節・MP関節)・手首関節・肩関節・肘関節・膝関節・股関節・足首関節・リスフラン関節・距骨下関節・足趾MTP関節などの僅かな腫れ・痛み・固さなどで始まります。全ての関節で起こりえます。初期症状で尺側手根伸筋と屈筋腱腱鞘滑膜炎、橈尺関節滑膜炎などにも注意します。朝起床時の手指が固い・動かしにくい症状は『朝のこわばり』といいリウマチに有名な症状で、腱鞘滑膜炎がこの病態に関与しています。







リウマチの原因と進行

リウマチは免疫系の異常により炎症性サイトカインが破骨細胞機能を亢進させ関節の滑膜炎を起こし悪化すると骨破壊まで起こしていきます。進行すると全身の関節破壊に広がります。治療しないと10年〜20年で関節が壊れ人工関節や関節固定術などの手術が必要になります。
 
関節破壊を来すと歩行に支障を来すだけでなく、全身的には脱力感、体重減少、食欲低下、肺線維症などの症状が出るようになります。血管炎が起こり、心筋梗塞、肺炎、腸梗塞などをきたす悪性リウマチに至ることもあります。治療を継続しないと寿命は約10年短くなります。
    



現在のリウマチ治療について
かつて高度変形・全身症状まで来すことが多かったリウマチですが、2000年頃からメトトレキセート(MTX)が欧米に遅れること10年日本でも処方され始めてから治療成績が格段に向上しました。その後、生物学的注射製剤、2013年から内服の分子標的型合成リウマチ薬(JAK阻害剤)が開発されております。


 2000年:寛解8%、軽症14%、中等症58%、重症20%
 2018年:寛解56%、軽症21%、中等症21%、重症2%


リウマチの治療は3〜6か月の早期に炎症及び症状が安定化する寛解状態に持っていくことを目標とします。リウマチは診断が遅れれば遅れるほど難治性の炎症になります。当院では早期発見/早期治療を行った場合95%以上の方が痛みや腫れが非常に軽く安定した寛解・軽症状態を維持できています。リウマチは関節に起きる病気のため整形外科医を受診することが多く早い段階でリウマチを発見し治療を開始することが重要です。数日〜数週間の軽い手指関節痛、軽い膝関節痛、50肩症状、1週間の足指痛でリウマチを発見出来ております。両膝の軽い関節痛で3年間色々な病院で診断できず当院で発見できた例もあります。全ての関節痛でリウマチは始まることを常に考えておく必要があります。数年治療が遅れると免疫の異常が強くなり治療に抵抗性になります。軽い段階で早く見つけ治療を開始することが重要です。治療開始したら必ず治療を中段せず継続下さい。リウマチは治療薬を軽減することはあっても中止(ドラッグフリー)はありません。一度中止し悪化した場合薬が非常に効きにくくなります。関節注射やリハビリを含めて総合的に治療できる整形外科医のリウマチ治療をお勧めします。

 

 

 


  関節リウマチの血液検査
  1.リウマトイド因子 2.CRP
  3.抗CCP抗体 4.MMP-3 5.血沈

 
 
 関節リウマチの画像検査
  
1.X線検査 2.超音波検査 3.MRI検査
   



血液検査・画像検査
血液検査のリウマトイド因子(RF)はリウマチ患者の76%に陽性です。正常な人でも2〜5%(特に60歳以上では10〜20%)に陽性となります。早期ではリウマトイド因子は陰性のこともあるため抗CCP抗体検査が重要です。抗CCP抗体の関節リウマチの感度は65〜77%、特異度は90〜96%。SLEでも10%に陽性。抗CCP抗体が陽性であればほぼ100%リウマチです。血沈やCRPは炎症の程度を測ります。MMP-3は滑膜組織が分泌する物質で関節の炎症をより正確に反映し薬効の指標になります。活動性リウマチの80%に陽性です。リウマチでは補体は低下しませんがSLEでは低下します。抗CCP抗体強陽性の関節炎患者では直ちにMTXを投与することが薦められます。画像検査のX線検査では関節裂隙狭小化や骨びらんなどのリウマチに特徴的な所見があります。しかしこれらは進行した状態で早期診断に有用ではありません。当然このような状態になってしまっては相当進行しているということになります。リウマチはX線で変化が来る前の早期診断が大切で超音波検査やMRI検査で滑膜炎の状態を診ること、臨床症状の推移を慎重に診ていくことが重要になります。リウマチ薬を開始する場合、@HBs抗原、AHBs抗体、BHBc抗体の3種類の抗体検査は必要になります。HBs抗原(+)はリウマチ薬治療は止めてB型肝炎ウイルスの治療が必要です。HBs抗原(-)、HBs抗体(+)は過去に感染していた可能性があり、HBV-DNA定量検査を行い一定量以上のウイルス量の場合はリウマチ薬開始前に肝炎治療が必要になります。特にMTX以上の治療薬では重要になります。


血液検査陰性のリウマチ
リウマチのうち血液で陽性でない患者が10〜20%にいます。血液検査が陰性だから完全に安心は出来ません。症状が続くときは超音波検査・MRI検査・MMP-3などで滑膜炎の状態を慎重に診ていきます。滑膜炎が明らかな場合はリウマチの治療を開始します。しかし、滑膜炎が明らかでない場合は数か月慎重に経過観察をした上で判断していきます。十分に長期に経過を診た上で症状が継続するときは診断的治療(リウマチ薬)を行います。リウマチ薬は免疫抑制剤のため血液検査陰性の時は十分に慎重に経過を診て処方を決めますので患者様には医師の指示に必ず従って下さい。。


      



リウマチ治療開始後検査
リウマチの治療が始まった場合、2か月に一度の血液検査が必須です。超音波検査も数か月に一度行い炎症状態が安定しているかを診ることも重要になります。超音波検査はパワードップラー法(血流信号)による炎症シグナルのグレード分類が2017年に提唱されています。リウマチ薬は免疫抑制剤であるため、結核の発生がないかの検査(胸部X線・T-Spot検査)を1年ごとに行う必要があります。治療開始後は薬を軽減することはあっても中止はありませんので、根気よく1か月ごとの通院治療をお願いします。CRPは1.0以下、MMP-3の正常化、エコーで滑膜炎の消退が目標です。


 滑膜肥厚の半定量スコア

血流信号の半定量スコア


抗リウマチ薬
リウマチは自己免疫異常による関節滑膜の増生が主体の病変であるため、免疫抑制剤による全身療法が基本となります。治療は抗リウマチ薬で病態を悪化させず改善させることが目的です。リウマチ薬には下記の4種類があります。下記薬の1から5に行くに従い強い薬となります。軽い薬(免疫調整剤)から始めて効果を診ていきます。ステロイドは初期に使用しますが治療効果が出ましたら中止します。当院では隔日投与にしておりますので安全に使用できます。1つの薬の効果の判断には1ヶ月以上かかります。1度効いた薬も数年で効果が落ちることもあるため、2ヶ月毎の血液検査と滑膜炎の状態を超音波検査で診ていくことも大切になります。最も重要な免疫抑制薬のMTXはジェネリックが発売されており安価な薬となっております。注射剤の生物学的製剤に匹敵する内服薬のJAK阻害薬は現在正規品のみで高価ですが、2026年以降にジェネリックが出ると予想されています。リウマチ治療をされている場合50歳以上では骨粗鬆症の治療も行っていくことが推奨です。1年以上寛解状態が維持できてれば投与量の減量も検討します。



   1. 非ステロイド抗炎症薬・ステロイド薬(初期のみ)
   2. 従来型抗リウマチ薬(免疫調整薬)
   3. 免疫抑制薬(MTX)
   4. 分子標的型合成抗リウマチ薬(JAK阻害薬)

   5. 生物学的製剤(サイトカイン阻害薬)




代表的薬品名

形状

成分名

セレコックス

非ステロイド抗消炎薬

プレドニゾロン

東和薬品株式会社

ステロイド薬

アザルフィジン

免疫調整薬

サラゾスルファピリジン

リマチル

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免疫調整薬

ブシラミン

ケアラム

エーザイ株式会社

免疫調整剤

イグラチモド

リウマトレックス

免疫抑制薬

メトトレキセート(MTX)

フォリアミン

日本製薬 フォリアミン錠 包装写真

MTX補助剤:葉酸

ブレディニン

旭化成ファーマ ブレディニン錠50 包装写真

免疫抑制薬

ミゾリビン

ゼルヤンツ

JAK阻害薬

トファシチニブ

オルミエント

JAK阻害薬

パリシティニブ

スマイラフ

JAK阻害薬

ペフィシチニブ

リンヴォック

JAK阻害薬

ウパダシチニブ

ジセレカ

JAK阻害薬

フィルゴチニブ


代表的生物学的製剤(サイトカイン阻害薬)
代表的薬 投与方法  G:ジェネリック
インフリキシマブ  TNF阻害薬;点滴(G有)
エタネルセプト  TNF阻害薬;皮下自己注1週1回(G有)
アダリムマブ  TNF阻害薬;皮下注射2週1回(G有)
ナノゾラ  TNF阻害薬;皮下注射4週1回
アクテムラ  IL-6受容体拮抗薬;皮下注射2週1回
オレンシア  T細胞選択的調整剤;点滴4週間1回



寛解(治療のゴール)

現在のリウマチの治療は完治させることはできないため寛解状態にしてそれを維持することです。寛解(=臨床的寛解)とは症状が軽く日常生活に支障のない状態をいい、寛解状態を維持しかつ関節破壊の進行を止めること(=構造的寛解)が現在のリウマチ治療のゴールとなります。そのためにリウマチが濃厚となれば早い時期から薬物療法を開始し炎症のコントロールをしていきます。炎症の制御が不十分であれば生物学的製剤も併用し速やかに臨床的寛解までコントロールする必要があります。寛解の状況把握は血液データおよび超音波検査で診ていきます。1ヵ所でも進行性の骨びらんを認める場合には早期から生物学的製剤が適応になります。





ワクチン接種と生活指導
65歳以上は肺炎球菌ワクチン接種推奨。健康的な生活を心がけて下さい。たばこ・お酒は止めて栄養・睡眠を十分にとって下さい。軽い運動は推奨されます。



妊娠中のリウマチ薬
リウマチは女性に多く、20〜40歳代の方に多く発症することから、結婚・妊娠・出産・育児など多くの問題に直面することになります。妊娠すると基本的にすべての抗リウマチ薬を中止します。特にメトトレキサート(MTX)は胎児奇形の誘因となることが言われており内服中は妊娠できません。妊娠希望となったら休薬し一定期間(少なくとも2−3生理周期)をおいてから妊娠にトライすることとなります。抗リウマチ薬を中止した後はそれを補う形でステロイド少量経口投与を行います。妊娠中は関節リウマチの活動性が低くなることが知られておりますので少量でも十分安定する可能性があります。




参考:2024米沢市立病院レポートPDFfile

参考:2020リウマチガイドライン

参考:2024リウマチガイドライン





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