膝蓋骨脱臼専門外来

内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)再建術



横浜整形外科クリニックの膝蓋骨脱臼専門外来では、初回膝蓋骨脱臼、反復性膝蓋骨脱臼、膝蓋骨不安定症などの診断・治療を行っています。症状や病態に応じた保存療法から手術治療まで検討し、手術が必要な場合には内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)再建術を行っています。当院では長年のMPFLの解剖・再建術研究をもとにMPFL再建術を行っており、術後翌日から全荷重・歩行訓練を開始し、通常は1~2日で退院可能です。




野村医師の研究より
第22回国際整形外科学会, Sydney, 2002



内側膝蓋大腿靭帯再建術
MPFL再建術(新野村法)
術後1~2日目に退院




膝蓋骨脱臼とMPFL再建術

初回膝蓋骨脱臼は10歳代に最も多く生じます。その後、日常生活で強い不安定感がないため治療しない場合が多くあります。しかし、数年に1回くらいの頻度でも2~3回脱臼(反復性膝蓋骨脱臼)すると日常生活動作での不安定感が徐々に強くなっていきます。20~30歳頃になると不安定感だけでなく膝蓋軟骨障害による痛みも生じてくるようになります。このことから1回脱臼後に徒手的不安定性が強いとき、あるいは2回以上脱臼した場合は手術が適応となります。現在、膝蓋骨脱臼に対する手術は内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)再建術が世界的に第1選択となっています。

MPFL再建術(新野村法)の特徴

野村医師は、解剖学的研究・機能解剖学的研究からscaffold型人工靭帯を用いた内側膝蓋大腿靭帯再建術を1993年に世界で初めて発表しております。MPFL大腿骨付着部は最も重要でNomura Pointと呼ばれています。人工靭帯法以後、30年間に自家腱法・MPFL+MPTL再建術、ハイブリッド法など多くの再建方法を開発し、固定材料もステープル法、スパイクワッシャー法、インターフェランススクリュー、吸収性スクリューなどより強固でさらには生体親和性の材料へと改良してきました。現在の内側膝蓋大腿靭帯再建術(新野村法)は以前には難しかった靭帯のテンションをミリ単位で調節できるようになり、生体親和性靭帯材料を用いた強固な固定法に加え、皮切も4cm程で可能となっています。術後翌日から全荷重歩行・可動域訓練を開始し、通常術後1~2日目に退院が可能です。手術は健康保険適応で高額療養費制度が使えます。



MPFL再建術(新野村法)術後のスケジュール
手術日 手術時間60~90分 
手術後1日目 全荷重歩行・屈伸練習・リハビリ開始
手術後1~2日目 退院可(両膝の方は5~7日目)
手術後3~6日目 外来にて包交・通学/出勤可能
手術後14日目 抜糸不要・通院/自主リハビリ
手術後2~3ヵ月目 MRI検査・スポーツ徐々に再開





初回膝蓋骨脱臼時の軟骨障害

脱臼模式図 X線像 骨軟骨骨折 骨折片固定

初回脱臼では膝蓋骨が外側に脱臼して戻る際に大腿骨外顆とぶつかるため、膝蓋骨軟骨面に傷が入ったり、大腿骨外顆の外側軟骨が小さく欠けたりしますが、多くは重大な障害にならないため関節内の血を抜くことはありますが、ギプスやテーピングで数週間で改善します。しかし、膝蓋骨骨軟骨が上写真のように大きく骨折するときは固定手術が早急に必要になります。大きな骨軟骨骨折がない場合手術せずに多くの例ではまずは保存的治療を行います。しかし、保存的治療ではおよそ70%は不安定感や脱臼を繰り返すことになります。元々のMPFL弛緩がある例や解剖学的異常を伴う例では、ほとんどが反復性膝蓋骨脱臼に移行します。



          野村医師の研究より
    第12回国際膝蓋大腿関節研究会, London, 2010


膝蓋骨脱臼の進行と軟骨障害

初回膝蓋骨脱臼では膝蓋骨と大腿骨外顆とぶつかるために、大きな膝蓋骨骨軟骨骨折を起こさなくても膝蓋骨骨軟骨面に1~数条の縦の軟骨亀裂が起こっている例が多数です。初回脱臼後、明らかな再脱臼を繰り返していなくても、膝蓋骨がわずかに外側へ移動する不安定な状態が繰り返されることがあります。本人が強い不安定感を感じていない場合でも、このような外方不安定性が長期間続くことによって膝蓋骨軟骨の障害が徐々に進行しやすくなります(写真③④)。軟骨障害がひどくなると軟骨障害を元通りに回復させることはMPFL再建術を行って脱臼を治しても軟骨は治らず膝の痛みが残ることにつながります。初回脱臼から10年以上経ちますと軟骨障害は相当に進行します。初回脱臼の平均は14~20歳頃ですので手術せずに30歳以上になりますと軟骨障害が高度になります。さらに初回脱臼後手術せずに長期に経過した場合、膝蓋骨が徐々に外側に偏位し脱臼の程度も高度になっていきます。特に40歳を超える頃には膝蓋大腿関節の変形も高度になり(写真⑤;正常写真①)、このような状態になると脱臼を戻しても変形によって膝蓋骨と大腿骨膝蓋溝の関節面がかみ合わなくなり、かつ変形性関節症の痛みが強く残存します。これらの研究結果と長期の臨床経験から、当院では脱臼回数だけでなく、膝蓋骨の外方不安定、軟骨障害の程度、年齢などを総合的に評価して手術適応を判断しています。特に若年者で脱臼を繰り返す場合や、初回脱臼後でも明らかな軟骨・骨軟骨障害を認める場合には早期に手術治療を検討します。



野村医師のMPFL研究
1990~1993年に世界に先駆けて膝蓋骨脱臼において重要なMPFL靭帯の詳細な解剖所見・機能解剖所見・MPFL再建術を発表しました。その後の30年間に国内外で150編以上もの研究発表/論文発表を行い、膝蓋骨に関する日本の教科書を2020年までほぼ全て執筆してきました。1990~2000年の間には34編もの学会発表・論文で日本および世界でこの分野を牽引してきました。2002年には国際膝蓋大腿関節研究会のメンバーに推挙されました。世界的に学会発表や論文報告は2002年頃より徐々に多くなり、2005年にはMPFLが重要な靭帯として認定され、今日では膝蓋骨脱臼の過去の手術法はほとんど行われなくなりMPFL再建術が世界的に第1選択となっております。野村医師は学会発表・講演は2016年から、論文・書籍は2020年から第一線を退きましたが、新野村法/MPFL再建術を世界に広めるために世界的英文雑誌Arthrscopyへ投稿を予定しています。




①膝蓋骨脱臼手術法の歴史とMPFL再建術


②野村医師の慶應膝研究チームの研究の軌跡


③国際膝蓋大腿関節研究会(IPFSG)


④野村医師の研究発表と論文業績




遠方から膝蓋骨脱臼手術を検討されている方へ

横浜整形外科クリニックでは、神奈川県・横浜市内だけでなく、東京都、千葉県、埼玉県をはじめ遠方から膝蓋骨脱臼手術・MPFL(内側膝蓋大腿靭帯)再建術について受診される患者さんも多くいます。当院では内側膝蓋大腿靭帯再建術(MPFL再建術)を行い、術後早期から全荷重・可動域訓練を開始しています。状態が良好な場合には術後1~2日で退院可能です。遠方からの受診を希望される方もご相談ください。





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2011
ISAKOS学会
左から3人目
野村医師
2002 IPFSG
at Roma
2003 IPFSG
at Naples
KP Hospital
Dr Fithain 2002
2005 IPFSG
at Lake of Leman
膝関節手術専門外来
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