診断や治療は経過を診ていくことも大切です。経過を診たり、血液検査やMRI検査などの精密検査をして初めてやっと診断のつく病気が多くあります。軽い背部痛で転移性胸椎腫瘍、腰臀部痛で悪性腸骨腫瘍や腸腰筋膿瘍、ふともも痛で横紋筋融解、股関節痛で大腿骨頸部疲労骨折、軽い膝関節の腫れで骨軟骨腫症、軽い膝関節痛で膝骨壊死や脛骨不全骨折、大腿骨下端悪性骨腫瘍、軽い下肢のしびれで胸腰椎部脊髄腫瘍、足趾付け根の腫れで関節リウマチ、肩甲骨の痛みで頚部脊柱管狭窄症、スネのだるさで腰椎分離すべり症などの病気もあります。希でも直ぐに治療しないといけない病気を見逃さずに診断を進めて行く必要があります。 整形外科疾患の殆どは急に症状が出現しても慢性疾患ですので簡単に治りません。例えば頸椎症性脊髄症です。加齢に伴う変形骨棘が神経に障り慢性の肩こりや腕の痛みしびれになります。変形骨棘は手術で削らない限り根本的に治りませんが、『根本的に治らないなら治療してもしょうがない』という方がいます。たとえ根本的に治らなくても早いうちにあるいは軽いうちに治療しないと難治性となり後で手術しても後遺症が強く残ってしまいます。医師の経過観察はたとえ簡単に症状を聞いて鎮痛剤のみや湿布だけでも大切なことなのです。 『単なるぎっくり腰なんだからなんでMRI検査まで撮るんですか？』と拒否される方も多くいます。医師は急いで治療する必要のある病気かを診断していくことが大切です。重大な病気であれば発見が遅れれば遅れるほど治療期間が延びたり、後遺症の残る確率が高くなります。 医師の薦める治療を受けずに『治る筋トレやストレッチを教えて下さい』『マッサージの方法を教えて下さい』という方が多くいます。しかし、病気が本質的に治る筋トレ、ストレッチ、マッサージはどこにも存在しません。簡単に治る夢のような治療はありません。患者様も自己判断したりせず医師の指示に従って積極的に治療を受けて下さい。医師に協力し一緒に治していく気持ちが大切です。